ノーラン作品だが、いろいろと議論もあって、いろいろと公開も遅くて、ようやく！！初日にIMAX鑑賞！！
想像以上の傑作でした。
前情報で難解だと聞いていたが、原爆開発やその後についての歴史を知っているので、その情報だけで十分楽しめたのがほっとしたポイント。オッペンハイマーの人生や周辺人物をあまり調べなくても、監督の物語運びに身を任せることで、むしろ先行き不安な感じや緊張感をたっぷり味わえた。
【ストーリー】
原爆という題材にどこまで切り込むかで議論のある今作だが、オッペンハイマー個人のみにフォーカスした作りで良かったと思う。ノーラン初の一人称の物語として、言葉云々よりも映像によって苦悩や恐怖を描いており、3時間もあっという間なほど夢中になった。
確かに、原爆の恐ろしさの描写は少ないかもしれないが、オッペンハイマーを通して、いかに原爆が開発され、日本への投下が決まり、投下後に彼の心境に影響を与えたかを、かなりのスピード感と重厚さで描き切った本作は多くの人に見てほしい。
戦後に主人公が苦境に立たされていく過程は、予習ナシもあって驚きのある展開であり、伝記映画・人間ドラマとして見応えあった。アインシュタインとの会話が非常に印象的で、重たい終わり方だった。
【映像】
ちょいちょい挿入される物理的映像がCGではなく、撮影監督が庭で撮った映像というのが信じられないくらい、圧倒的！
カラーと白黒映像の使い分けも効果的で、怒涛の終盤だった。
【音】
今作はずーーっと音が鳴っている！！絶え間なく3時間を音楽によって演出する面白い作品だった。おそらく唯一、長く音の消えたシーンがトリニティだと思うが、言葉の出ない凄まじさで息を呑み、音が復活したときに思わず震えた。
【キャスト】
登場人物が多いだけにトンデモナイ俳優陣で、アッと何回も言いそうになった。今までのノーラン作品で見た顔もあれば、懐かしの顔もいて、なんて豪華な…。
【最後に】
交錯する時系列とともに、どこかの立場に偏りすぎることなく、上手にオッペンハイマーの生涯を描いた大変見応えある作品でした！公開されて良かったと思います。
