記憶と魂を巡る深淵への旅路
ストーリーやキャラクターについて何をどう書いてもネタバレになってしまうので、書くことは何もないのだが期待値を遥かに上回る傑作であることだけは疑いない。
オリジナル版を古典的名作と位置付けるならば、テーマをより内面深くへと拡張し、哲学の重みすら感じさせる重層的なストーリーと、ロジャーディーキンス撮影による極めて美しい映像がマッチングした映像文学と言ってよいと思う。
興行的には全く受ける要素がないが、あまりに切なく胸を打つ163分間の旅路に無駄な要素は何一つなく、リドリースコットからバトンを託されたドゥニ・ヴィルーヴの正確無比なレールの敷き方にはただただ舌を巻くしかない。