円柱野郎

ブレードランナー 2049の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

オリジナル版の公開から35年後に制作された続編。
デッカードの逃避行から30年後の2049年を舞台に、人類とレプリカントの秩序に関わる真実に触れることになった捜査官Kの姿を描く。

もはや伝説的な存在になってしまった「ブレードランナー」の続編を撮るという企画を最初に聞いた時は、「あれの続きを作れるのか?」と懐疑的だったけど、実際に観てみるとビジュアル的にも精神的にも地続きの見事な続編になっていた。
ドゥニ・ビルヌーヴ監督の感性がリドリー・スコットが作った光と影のビジュアルイメージに違和感なく重ね塗りされていて、二つの作家性が感じられる作風は良い感じ。
話のテンポはどちらかと言うと落ち着いた感じだし、繰り返し映し出される2049年の情景も悪く言えばくどいので、163分という上映時間は体感的には割と長めに感じる。
でもそれこそがこの作品の世界観に厚みを与えているのは間違いない。

本作ではレプリカントが製造されるものから繁殖するものになる可能性を話の主軸にし、そこにKの過去に関する謎をミスリードさせたり、ウォレスの目的を絡めたりすることでサスペンス・ミステリー調のSFといった趣になっている。
「her」の様に人工知能との"疑似"恋愛要素も描かれるけど、レプリカントであるKの記憶にまつわる話も含めて、製造された人間の人間らしさという曖昧な境界に「ブレードランナー」らしさを感じるところ。
そのキモを外さなかったからこそ続編としての満足感を感じるわけだけれど、カルト的な人気のある作品の続編に手を出すというのは挑戦だったろうなあ。
そこにあえて挑み、成功させたのは本当に見事。
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