踊る猫

ブレードランナー 2049の踊る猫のレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.1
人間とレプリカント、本物と贋物、シミュラクル……といった問題はここに来てより掘り下げられている感がある。最初は『オイディプス王』やドストエフスキーよろしく「父殺し」の問題で展開して行くのかな……と思いきや、こちらの期待通りにはプロットを転がさない(ネタを割るのは野暮なので避けるが)「スジ」の腕が冴えていると思う。旧作『ブレードランナー』でも魅力的だった、雨を都市に降らせる描写も見事。個人的に一番好きなのは人工知能搭載のジョイの佇まいで、彼女と主人公のKが真剣に愛し合えば愛し合うほどその恋愛が「贋物」であることが浮き彫りになって来る。そんな切ない感情を閉じ込めたところにも、『ブレードランナー』を超えんとした造り手の野心を感じる。だからここからは完全な個人の好みになるが、もう少しプロットが二転三転していればとも思うし(語り口においてこの映画は愚直過ぎる)、尻切れトンボの感も否めない。
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