さうすぽー

ブレードランナー 2049のさうすぽーのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.6
自己満足点 90点

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品、一挙レビュー第5段!
(すみません、しばらく間が空いてしまいました)

カルト的な人気を誇るブレードランナーの続編。
はっきり言って、僕はブレードランナーのシリーズはこちらが本編で前作はこちらの前日譚のような感じがしてしまいます(笑)
それくらい内容が濃密ですし、こちらの続編の方が好きです。


前作のブレードランナーは映像は綺麗なのですが、ハリソン・フォード演じるデッカートがレプリカントのレイチェルと出会いながら、ミッションをこなしていく内容は悪くはないけど少しストーリーが薄く感じました。
ただ、この続編は本物(人間)と作り物(レプリカント)の対立と生命の在り方、人間の哲学や仁義等が盛り込まれていて、前作以上に深く濃密な内容に物凄く惹かれました。

仁義についてですが、
この映画はレプリカントとして命令されるだけの"人間の犬"だった主人公Kが"人間"ジョーとして己の仁義を貫く内容だと思うんです。その側面が個人的に日本の「孤狼の血」や香港の「インファナル・アフェア」を思い起こしました。
そういった意味では、もしかしたら日本含めたアジア圏の方が受ける内容かもしれません。

主人公のK(ジョー)はレプリカントでありながら人間としての生活をしている中で、人間からの侮蔑や差別を受けながらも「自分は何者なのか?」という葛藤を抱えている存在。表情に乏しいながらも他者との共感を持っている"人間"のような性格も持っているので凄く興味深いです。
そういった無機質な部分と人間臭い部分を秘めたキャラをライアン・ゴズリングが見事に演じていました。
(個人的にはドライヴを想起させた)

ヒロインのジョイも、AIのホログラムでありながら主人公と恋人関係にあるのですが、そこの関係性が物凄く好きです。
彼女が主人公に持っている気持ちは本物なのか偽物なのかも考えさせられる所ですね。(本物であってほしい!)

また、特殊効果も非常に面白かった所があります。
ヒロインのジョイが劇中、一瞬で衣装やヘアスタイルを変えていく場面が非常に自然でした。
通常だとアニメーションだと作画の演出等で出来やすいものですが、実写で女優が演じないといけないので自然に表現するのが難しいと思います。しかし、この映画ではそれを違和感なくやり遂げたのは素晴らしい!

ヒロインとのセックスシーンも、娼婦と身体を同期させながら行う非常に興味深い場面でしたが、そこの特殊効果も非常に面白かったです。


映像面も素晴らしいですね。
画面の色彩や照明等が非常にこだわりのある美しいものになっていて、尚且つ撮影監督であるロジャー・ディーキンスのショットが絶妙にマッチしています。
なので、劇中の場面の殆どがポスターや宣伝画像に使えるショットばかりで圧巻です!
アカデミー賞撮影賞と視覚効果賞を受賞したのは大いに納得です。


素晴らしい続編映画でドゥニ・ヴィルヌーヴ作品の中でも好きな方ですが、少しケチを付けるとしたら、上映時間が流石に長いかな(^_^;)
前半の部分や後半のKとデッカートのアクションシーンは流石にカット出来たと思います。
あとは、警察組織が無防備なところもわりと気になった。

しかし、ここまで映像が綺麗で内容が濃いSF映画もなかなか観られません!
劇場で観たかった(笑)