kazuかず

わたしは、ダニエル・ブレイクのkazuかずのレビュー・感想・評価

4.5
イギリスの名匠ケン・ローチ監督が、80歳にして作り上げた社会派の秀作。『麦の穂をゆらす風』に続いて2度目のカンヌ映画祭パルムドール(最高賞)を受賞。

心臓病により59歳で大工の職を失ったダニエル。
2人の子供を養うシングルマザーのケイティ。
職業安定所の理不尽な対応を受けた2人が、同じ仕事もお金もない境遇から家族ぐるみの友情が芽生える。税金を納めてきたダニエルが職業安定所の官僚主義に徹した融通のきかない対応に苦慮しながらも、ケイティ家族との貧しくともささやかな日常に生きる活力を得るが状況はますます厳しくなって行く。。。

イギリス社会の官僚主義、貧困問題に深くメスを入れた本作。失業者が増え続けているが社会保障が充実しない現実、社会的弱者が無力感に苛まれる現実に、開いた口が塞がりませんでした。ここまで酷いのかと(・Д・)日本も例外ではないかも?

主演のデイヴ・ジョーンズはコメディアン。オーディションを経て本作の主役に選ばれたそうです。オールドルーキーとは思えないユーモアかつ優しさに溢れた演技が印象に残りました。

社会的圧力を受けながらも、一庶民ここにありと堂々と生きるダニエルを誰もが応援したくなるはずです。

衝撃かつ感涙のラストにこの映画の意義と素晴らしさを思い知りました。
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