こたつむり

ヤコペッティの大残酷のこたつむりのレビュー・感想・評価

ヤコペッティの大残酷(1974年製作の映画)
4.1
TSUTAYA発掘良品。
というか、何というものを発掘したんでしょうか。というか、発掘して良かったんですか、これ。

と、思うくらいにキワモノ。
そして、飛び道具。
考えられるもの全てを詰め込んだ作品であります。

愛。憎しみ。最善。最悪。戦争。平和。中世。現代。食欲。性欲。美女。裸。薔薇。天使。拷問。梅毒。奴隷。自由。刹那。輪廻。エロ。グロ。ナンセンス。ドイツ。アメリカ。イスラエル。アイルランド。ゴダールのような映像。リンチのように複雑。クローネンバーグのように本質的。ヴァーホーベンのように扇情的。クストリッツァのように濃密。

…ってキリがないのでやめますが、原液のカルピスよりも濃密です。何故だか、外国の映画なのに昭和の香りまでしてきます。これは一回鑑賞しただけでは消化不良で胃腸炎になるかもしれません。というか、全てを混ぜ合わせすぎです。ぐっちょんちょんです。喩えるならば四時間かけて作った弁当を振り回したようなものです。うわぁ。

でも、根底に流れているものはとても普遍的なもの、というのが憎たらしいですな。しかも、それを否定的に捉えるのか、肯定的に捉えるのか。それは観客に委ねられている、というのも憎たらしい限りで。

あー。でも、一般的な意見としては否定的なものが多いのでしょうかね。僕は折角作った弁当だし、味としては美味しいのだから肯定的なんですけどね。あ。でも、ケチャップが混ざり過ぎたサラダは勘弁かな。あとマヨネーズが付いたサケの切り身とか。あー。それも食べなきゃいけない…となると微妙だなあ。

ちなみに鑑賞後に知ったのですが、一応、原作もあるのですね。フランス文学の『カンディード』だということですが、すいません。学が無いので未読であります。ただウィキペディアで読んだ限りだと、本作のテーマは原作通りなんですね。むー。それを思うと本作を肯定している僕の立つ瀬が…。やっぱり、ぐっちょんちょんの弁当は食べない方が良い…ということなのかな…。

何はともあれ。
70年代テイストの邦題が観客を遠ざけているような気もしますが、人を選ぶ作品ですからね。ある意味正解。怖いもの見たさで挑戦するのも良いですが、自らの許容量を鑑みてくださいまし。なお、予告編が参考になると良いのですが、本作の場合は“通常の映画ではない”ということくらいしか分からないと思います。

それにしても、やるなぁ。TSUTAYA発掘良品。
いいぞ。もっとやれ。
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