mimitakoyaki

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

3.9
ビックリしいだし怖いのイヤなので普段はホラーは見ないのですが、一味違うとの評判から勇気を出して見に行きました。

はじめは街の子ども達が謎の失踪をする不気味で陰気な雰囲気が怖かったですが、スクールカーストの底辺にいる日陰者の少年達が恐怖に立ち向かい成長していく青春モノの要素が強まり、確かにスタンドバイミーのようでありました。

学校ではイジメられたり小馬鹿にされている子達で、自分に自信が持てないし、不良にからまれやしないかとビクビクしたり、親との関係がしんどくて家にも居場所がなかったりして、だけど、そんな負け犬少年達が集まって、颯爽と自転車ビュンビュンこいで走り回ったり、湖で遊んだり、一緒に勇気を出して恐怖に向かっていこうとする姿が、ホラーで怖いんだけど眩しかったり愛おしく思えました。

ピエロが子ども達が抱えるトラウマを刺激して恐怖で支配しようとする時、少年達の結束を巧妙に分断しようとするのですが、悪や恐怖には一人では負けてしまうのでみんなで力を合わせて立ち向かわないといけないというのも、恐怖で煽って分断を図ろうとするものって、今の時代もいろいろあるので、いろんな人達がつながり合い結びついて協力して克服していくんだというメッセージを感じました。

自分を支配しようとする者、傷つける者、束縛する者…
そういう存在から解放され、自分らしく自由になること、傷ついた子ども達が大人の手を借りずに自分達の力で克服し獲得していくところに感動を覚えました。

弱い者達が手を取り合って大切なものを取り戻すために闘ったあの夏、あの時の気持ちや友情はその時だけの特別なものだったのかもしれないけど、子ども達の心に確かなものを残し、何かが変わってひとつ大人への階段をのぼり始めた感じも、スタンドバイミーのようなノスタルジーを感じさせ、寂しさと切なさと温かさの入り混じったような爽やかな甘酸っぱさもあって良かったです。

2回くらいビックリしてわっっ! て思わず声を出してしまって、そのビックリした自分が笑えてきて必死で堪えましたが、ホラー耐性のないわたしでも思ったより大丈夫でした。

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