不死身、という要素を過去のXメンシリーズで存分に発揮してたウルヴァリン。
俊敏な動きでザクザクと貫き、撃たれようが立ち上がり、銃弾がポトリと身体から落ちる。その爽快感に似たもので多くのファンを獲得してきたキャラクターだと思う。
しかし、この不死身という設定。裏を返せば緊張感やスリリングさを損なう諸刃の刃的な側面もあり、キャラクター歴が長くなる程、足かせとなる恐れがある。
どうせ死なないんだろ?みたいな。
話がシリアスになればなる程、この不死身という設定がかなり厄介。リアルさが全くない設定だから。
だからジャックマンが今回でウルヴァリンを卒業すると聞いて、最後はどう落とすんだろう?と期待半分不安半分で鑑賞。
ネタバレになるので結果は書けないが、正直ちょっと消化不良。
ウルヴァリン最大の特徴である不死身、なぜ不死身じゃなくなったのか?が説得力に欠ける気がする。
この足かせをサラッと流されて、最初から落ちぶれ、足を引きずり、ボコられるヒーローを最後まで観せられるのはちょっとキツイ。
親友のライアンが放った特大ホームランのR指定アメコミ映画、デッドプールのおかげで通った本作のR指定路線。
デッドプールとは真逆な痛みをダイレクトに感じる表現だから、観ていて余計に辛い。
ロードムービーとしてのストーリーもどこか既視感があり、Xメンとしての必然性も薄く、これは確かに題名がウルヴァリン・ザ・ファイナルとかだったら苦情レベルなんで、タイトル的にはローガンで正解。
しかしそれらの要素を補って余りある主要三人の熱演が映画を最後まで引っ張ってくれたのは素直に賞賛!ジャックマンがコミックのキャラクターという概念を捨て去り、あれだけ長い間同じキャラクターを演じた集大成の演技。
ラストに進むにつれ、これまでの自分が背負ってきた、愛するものを失う悲哀を静かに爆発させるシーンなどは、最初からXメンを観てきたこちらの感情とシンクロする渾身の演技。
少しこちらの思惑と違った仕上がりになってはいたが、ジャックマン、お疲れ様でした、ありがとう。