ジョージ・クルーニー監督作品久しぶりだなー。まさか『コンフェッション』以来?…とか思ったら全然もっとたくさん撮ってました。そう言えばポツポツ観てたな。忘れてるだけか…。
いや、それって逆に凄い事なのでは?俳優の監督作品が酷くヘタクソだったら寧ろ忘れられませんよね?(具体例はあげませんが)
つまり、ジョージ・クルーニーの監督作は、普通の専業監督と遜色無いくらい良く出来ている!或いは吾輩がジョージの事をめちゃくちゃに贔屓しているかのどっちかだ!!(ジョージと書いたデコうちわを振りながら)
◆
タイトル『サバービコン』は街の名前です。50年台、アメリカの新興住宅地で、生活に必要な施設はなんでも有るけど、騒音や渋滞とは無縁という素晴らしい住環境で人口もどんどん増え…、はいいけど、なんだよ黒人の一家が引っ越して来やがったぜ!マジかよ⁉︎
…と、街がザワザワしているところから物語は始まります。主人公一家は、その問題の黒人マイヤーズ一家、のお隣さんのロッジ家。商社に勤める夫ガードナー。妻のローズは事故で車椅子生活。ローズの双子の姉マーガレットも何故か滞在中。それから息子のニッキー。
ローズは心優しく、マイヤーズ家が周囲から非難されているのを察し、ニッキーにマイヤーズ家の息子と遊んでくるように言います。リベラル!
…或る夜の事、二階の子供部屋で就寝中のニッキーは父ガードナーに起こされます。「…強盗が入った。でも大人しく従ってれば大丈夫。」
階下にゆっくりと降りていくと、二人の野蛮そうな男(素面!)がニヤつきながら踏ん反り返って無駄口を叩いています。
彼らは乱暴を働くでもなく家族を椅子に縛り付け、一人ずつクロロホルムで眠らせていきます…。
…病院のベッドで目を覚ますニッキー。
父ガードナーと叔母マーガレットは無事!…しかし、母ローズは…。
ローズを失ったロッジ家には、母の代わりにマーガレットが残って、いろいろ手伝ってくれることになりました。…。
それから暫く経ち、警察から容疑者逮捕の報が有りました!ガードナーとマーガレットが容疑者の面通しをしている部屋に潜り込んだニッキーは、そこで信じられない光景を目にします!
◆
書き忘れましたが、ガードナーはジョージ・クルーニーでは無くてマット・デイモン!脳内キャストを変更してください!マーガレットはジュリアン・ムーア!!わーい、このお姉さん面白いから好きー。
タイトルやジャケの印象から純粋なコメディかと思っていたのですが、意外にもダークなサスペンス、時々コメディ風でした。
人々の身なりやインテリア、モンド風の小物などなど凝りに凝った50’sで楽しいのですが、同時にこの街での暮らしの作り物感も不気味に浮かび上がらせているようです。特にストーリー説明で書いた以降の展開の覚束なさ、薄気味悪さは最高です。あ、主人公はニッキーくんです。
サスペンスなのですがコメディ的、というのは犯人を含む登場人物たちが一様に何処か抜けていることに由来してまして、犯行も理詰めの完全犯罪とかとは程遠い。…この感じ、なんかコーエン兄弟みたいだなぁと思ったら、脚本コーエン兄弟!ヒャッホーゥ!これ映画観ててトップクラスに気持ちいいヤツだぜ!!!!サイコーっす!
…ところが。作品自体は最高とまでは言えない出来に思えます。底知れぬ不気味さの正体が分かってしまえば、後に残るのは出来損ないの不完全犯罪…。例えばコーエン兄弟自作の場合、犯行の杜撰さが却って底知れぬ恐怖(ファーゴのアレとか〜)に感じられるのですが、今作では緊張感を削ぐ方向にしか作用していないです。
脚本もちょっとアレかなぁ。サバービコンの街の裏側・隠された悪意と、物語の本筋が上手く絡んで無い様に思えます。つーかもう、街がそもそも関係無い。
キャストはさすがの存在感なのですが、“卓球スパンキング”で笑わせてくれたジュリアン・ムーアはもっともっと凄い事出来るの知ってるし、マット・デイモンも、どうもジョージ・クルーニーと舞台裏で馴れ合ってそうで気が散ります。そんな中ずば抜けて素晴らしいのが、ニッキー役のノア・ジュプ君!めっちゃ可愛い!!『ワンダー』のジャック君です。もう食べちゃいたい!…嘘です!足首にタグ付けないで下さい!!もう今後、彼が出てるだけで充分観る同期になりますね。
作品自体の出来はいろいろ至らない部分も有ると思いますが、その度にジョージ・クルーニーが脚本をクシャクシャに丸めて投げ捨てて、気分転換のジョキングでどすどす走ってるとこを想像すると結構悪くないと思います。
もうちょっと気分を出したいって方は是非お手製のデコうちわでジョージ・クルーニーを応援しながらご鑑賞下さい☺︎