群青

ハクソー・リッジの群青のレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.6
2017年劇場鑑賞映画27作目。
字幕鑑賞。


こんな模範的な映画らしい映画は久しぶりに観たような気がする。
実にスマートな作品だと思った。

主人公の少年時代、女の子との出会い、訓練と許されない信仰による葛藤、そして戦地へ。戦地でも二転三転の展開があり、140分できっちり物語の起承転結を物語ってる。実はメル・ギブソンは俳優としては個人的に顔が好きじゃないんだけど笑 監督してはすごいんだろうなって節々で感じた。


俳優も編集も音楽も効果音も。アカデミー賞録音賞・編集賞だもんな。そりゃ納得。頭をかすめる銃弾とガトリングの恐怖。そしてわらわらと沸いて出てくる日本兵など映画としての要素がどれもピカイチだった。それだけにどっか尖ったところがないというのが弱点か。

でも欠点を補って余りある加点が今作の魅力なんだろうな。

そういえば、アンドリュー・ガーフィールドは今年2回目の信じるものを信じれ切れるか、はたまた裏切るかの瀬戸際に立たされる笑 この人は試されすぎ笑
試される大地が北海道なら試される人はアンドリュー・ガーフィールドなんだろう(突然)
イエスのおっさんはどうかこの人にはご慈悲を与えてあげて欲しいと強く思った笑

あと、この作品が面白いのは真面目にやってんのに笑えてくるシーンがあること。
アンドリュー・ガーフィールドが生涯の妻に初めて会った時、嫌われるスレスレの発言で口説いていく。明らかにコイツは女の子とコミュニケーションしたことねえというのが丸分かりなのがいい。こういうところは彼のキョドり演技の真骨頂だ。

あとは訓練に初めて参加する時、唐突に現れるやたらガタイのいいネイキッドなソルジャー。しかもずっとネイキッドで訓練させられる。劇場内もクスクス笑っていた笑

サム・ワーシントンも出ていた。やっと印象に残るような役を得たんじゃないだろうか。ターミネーター4も崖っぷちの男もタイタンもいまいちパッとしなかった。アバターは劇中ほとんどアバターだし笑


てっきりこの監督の作品を観てると思ったらアポカリプトもパッションもブレイブハートも観ていなかった笑 でも彼が描きたいキリスト教の側面はこの作品だけでも十分わかった。

信念を貫くこと。

舞台が日本人にとっては複雑なものかもしれないけど、今の時代明らかに反日なものなんてアメリカが作るはずもないし、プロパガンダでもあるまいし、そういう時代こそ色々な視点で映画を観ても全然いいと思う。
だって現にこの映画の実際の主人公は日本兵すら助けているんだから。そこには反日も親米もないと思う。長い間業界を干されていたメル・ギブソンだからこそそう思える自信がある。
反日とかそういうことじゃない。もう俺たちは知らない世代なんだから。知らないからこそ色々フラットに観るべきだ、と自分に認識させるような作品だった。
まあぶっちゃけそんなに政治的な話より主人公がどうなるかをハラハラして観ていた方が強いんだけど。それもまた知らない世代の強みかもしれない。
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