マヒロ

アルジェの戦いのマヒロのレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
3.5
フランスの占領下にあるアルジェリアで、独立のために活動するレジスタンス達と、それを阻止するフランス軍との戦いを描いた作品。

レジスタンスというと映画の世界では正義の側として扱われがちだけど、今作でのレジスタンスは一概にそうとも言えず、活動の過程で無関係の人間を大勢巻き込んでいたり、女性や子供も作戦に利用していたりとかなり過激。
一方のフランス軍も、それを抑え込むために市街地での爆破や捕らえた反乱軍達への拷問も辞さない等、目には目を、とでも言うかのように血で血を洗う争いが繰り広げられる。
無関係のように見えるフランス人たちもまた、アラブ人であるというだけで差別的な扱いをしたりと、復讐の連鎖が新たな憎しみを生んでいく。

どちらにも「善」の側面と「悪」の側面があり、どちらが正しいかはっきりとは分からないところがリアル。
ポスターにもなっている、反乱軍の幹部達が暗闇に身をひそめる構図のキマりっぷりとか、モリコーネの普段の叙情的なものとはまた違ったパーカッションの効いた緊迫感溢れるスコアとか、映画的な面白さも存分にある。役者は皆素人らしいけど、それを全く感じさせないパワフルな作品。

(2017.75)
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