LalaーMukuーMerry

アルジェの戦いのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
4.2
この作品はかつてフランスの植民地だったアルジェリアが独立するきっかけとなった、地下活動家たち(アルジェリア民族解放戦線FLN)の抵抗活動を克明に冷静に、そして熱く描いた作品。緊迫感が凄かった、音楽も良い。
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アルジェのはずれのカスバという町が舞台。FLNの幹部は姿をくらましたまま指令を出し、活動家たちがゲリラ的に抵抗活動をするので、当局は誰が犯人かもわからず手を焼いていた。切り札としてフランスが送り込んだ男はフランス空挺団の切れ者マチュー中佐。検問を厳しくして、逮捕した末端の活動家から、FLNのメンバー同士の繋がりを徹底的に調べ上げ、ついに4人の幹部の名前にたどりつく。FLNの幹部は次第に追い込まれ、軍にアジトが襲われるようになり、形勢は不利になっていく・・・
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アルジェリアは1962年に独立を勝ち取り自由を手に入れた。その時の高揚感が冷めやらぬ間に(1966年)この作品はできた。最終的な勝利の前に、この作品に描かれたような、敵に潰されてしまった地下活動があったということ。彼らの犠牲の上に自由と独立は成し遂げられたことを忘れないよう、映画にして残しておこうという思い。ラストの民衆蜂起を知らせるテロップで胸が熱くなるのを感じた。
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・・・でも

植民地主義は悪、それを打破した民族独立は正義の表われ。独立につながった民衆の蜂起こそが正義。それはFLNの活動があったから。だからFLNは正しい。おそらく、そういう思考なのだろう。作品がつくられた当時は高揚感があって、その主張も説得力があったのかもしれない。けれど、時間が経って時代が変わると、FLNのゲリラ的な爆弾テロや警官殺害などは、非暴力・不服従という教えとは対極にある、こういう事をして勝ち取った勝利は、本当に正しいのだろうか? 復讐の種をまいているだけではないのか? とちょっと疑問を感じる私がいたのも事実。
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相手を排除する思想からは真の平和は生まれない。そう思います。(きれいごとかもしれませんが・・・)