「谷城(コクソン)」という意味ありげな名前の場所は実在するんだ。
冒頭、事件がおこる農村が日本の農村とあまりにも似ていて驚いた。そこにあらわれる異分子としての日本人。リアルなようで、ファンタジックなようで。この設定に引き込まれた。
村のなかで猟奇的な事件が続発。同時に広まる噂。怪しげな日本人がいると。その日本人は何者か。疑心が高まっていくなかで登場する祈祷師、神父、そして悪霊…あれあれ、エクソシスト?
話はそう単純ではなく、ここから混乱のなかへ。
村のなかにひっそりと入り込んでいる異分子。それが何者かわからないにもかかわらず、しだいに大きくなる疑心、さらにそれが暗鬼を生じさせる…っていったまさにことわざのような話。
『淵に立つ』にも通じるテーマか。『淵に立つ』が「家」に入ってくる異分子へのハレーションを描くのに対し、本作は「村」に入ってくる異分子へのハレーションを描く。
うーん、ともに面白い。で、ともにどこか滑稽。人間とはそういうものってことか。本作も、震えながら笑い、笑いながら震えるって感じで見た。
最後は、混乱させて、混乱させて、混乱させてそのまま放置。ただ、こういう映画は嫌いじゃない。