KUJIRA

ディストピア パンドラの少女のKUJIRAのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ゾンビの第2世代の話。独創的な設定に惹かれた。

意外な幕開け。少年少女たちが監獄のような所に隔離されている。車椅子に固定され、科学や国語の授業を受けたり、合間に神話の話を聞いたりする。なかなか好み。
知性も感情もあるが、人間の匂いを嗅ぐと豹変して人を襲うようだ。胎児の状態でゾンビ化すると第2世代になるとのことだが、新生児はどうなのかは言及が無い。ゾンビ化の設定も斬新。キノコの菌糸が脳に作用するとの事。ゾンビは時間が経つと木になり、松ぼっくりを作る。あれ??キノコじゃなかったっけ???
堅い松ぼっくりが、火災や洪水に寄って割れ、中身が風に乗り拡散。皆んながゾンビになってしまう。人間に寄生しないと繁殖できないのに、全員がゾンビになったら、この植物も全滅するんだけど。原作の詰めが甘いのか、映画で語られてない部分があるのかは不明。

人間の匂いに反応するゾンビに対抗する為に、匂いを消すジェルが登場。これも新しい。だからと言って、満員電車の如くゾンビが密集しているエリアを歩いて突破はやり過ぎ。案の定、ゾンビに襲われてしまう。ゾンビは普段はマネキンみたいに立ち尽くしているが、親切に1人ずつ襲って来る。音や動きに反応するはずなんだが。
その後で犬をゾンビ達が追い掛けるシーンがあるが、その時は皆が同時にダッシュ!
ゾンビが人間だけで無く、犬や猫も食べる。主役の女の子はハトも食べてた。斬新だ。主役の子は、腹が減っていなければ、人間を襲わないようだ。

主役の女の子は、案外良い。優等生的なキャラも、ゾンビ化して動物を襲うシーンも、第2世代と猛々しく戦う姿も印象に残る。
この子が、木に火を放ち、種を撒き散らす終盤の展開は、どう解釈すれば良いのか。子供の安直さと取るべきか。確かに、世の中を知らない訳だが、とても賢い設定であるし、授業で先生に聞いた神話は道徳教育にもなると思う。ゾンビに肩入れしている描写は一切無いし、大好きな人間は何人かいるのだ。火を放ったら、人間は死滅する。関わった人間が研究施設にいるとは言え、菌が舞っているなら一歩も外に出られない。扉を開けたら終わりだから、少女も中に入れない。大好きな先生とは直接会えない。なのに、火を放つだろうか。
ラストは、施設のガラス越しに第2世代に授業をする先生のシーンで希望を滲ませる。これが、パンドラの希望のカケラだと言いたい訳だ。でも、中に食料は無いし、食料を中に届ける手段も無い。この先生役の女優さんは好き。憧れるね。

不自然に道の真ん中に落ちている缶詰を、何の疑いもなく次々と拾い、挙げ句の果てに装備を外してシャッターを潜ってしまう。そんな漫画みたいな罠に引っ掛かる兵士いる⁉︎

噛まれてから、ゾンビ化するまでのスピードが早過ぎる。ざっと20秒。他のゾンビ作品にも言える事ではある。
第2世代がゾンビに襲われない設定を活かして話が展開していく。ただ、襲われないと分かっていると緊張感が無い。人を噛まないように、透明のマスクをしているが、ゾンビ化した時に毎回自分で取ってた。(笑)


フェンスがゾンビに突破され基地が崩壊する様は、デイ オブ ザ デッド(死霊のえじき)を彷彿とさせる。

序盤は良いし、主役の女の子も良いのに勿体ない。
KUJIRA

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