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ワンダー 君は太陽のtjZeroのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.5
21世紀に入って一番…っていうのは大げさかもしれないけど、

間違いなく、令和に入ってからは一番泣いた映画になった。

トリーチャーコリンズ症候群という、顔面が変形してしまう難病のため自宅学習を続けていたオギーという少年が、普通学級に編入しての1年間を描く。

『ワンダー 君は太陽』っていうタイトルが、最初はちょっと大げさで、クサいとすら思っていた。

でも、観ていると邦題の副題も含めて、内容にピッタリなんだ、と思い至る。

オギーの母親イザベル(ジュリア・ロバーツ)の
「わが家は、あの子の周りを巡る太陽系なのよ」
みたいなセリフがあるけど、まさに、この少年は周囲の人々を明るく、あたたかく照らし出す。

その光はそして、そんな人々の負の面を白日のもとに曝す役目も果たす。
差別、偏見、障がいを恥じる心…といったニンゲンの醜い心根にスポットライトを当てる。
でも、ただ暴露するだけじゃなくて、その醜い部分を氷を溶かすように解消してしまう。
まさに『北風と太陽』の🌞の役目。やっぱりタイトルはピッタリ。

彼の周りの子どもたちだけじゃなくて、見守る大人たちにまで影響を与えていく。
それは観客である自分にも及んできていて、「人間って何歳になっても成長できないもんだなあ。でも、だからこそ、何歳になっても成長できる部分がたくさん残ってるんだなあ」と気づかされてくれた。

もしタイムマシンがあるのなら、相模原障がい者施設殺傷事件の死刑囚に、犯行前にこの作品を観てもらいたかったなあ…と思った。
それで何がどう変わるのかは、神のみぞ知る、だけど。



《付記》⚠ちょっとネタバレになります⚠
『スター・ウォーズ』を好むようなかたには、もしかしたら本作は”大気圏外”なのかもしれないけど、SWファンにこそこれは観てほしい。
オギーがSWファン、ってだけじゃなく、劇中にあのキャラクターが登場するってだけでもなく、本作のラストがもろに『新たなる希望』と対(つい)になっているのです。
オギーが成し遂げたことは、ルークが銀河系に安定をもたらした快挙に匹敵することがあざやかに示されます。
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