ジ・エンドから始まる地獄へのダイイングメッセージ。エイズに侵された佐野和宏が自らの死と引き換えに絶望した世界に疫病を撒き散らしていく。その病が肉体だけではなく、精神さえも狂わしていくのが佐藤寿保と夢野史郎の強さ。日常の不安や社会の暗い闇を非現実（作り手のパラノイア）にまで飛躍させていくのが「映画」。現実と地続きのままメソメソとしたドラマで終わってしまうような表現は三流。ビデオテープのノイズに取り込まれる青年、岡田有希子の自殺と同化する少女。鏡に映る二重三重もの人格。SPKが流れるなかでのテレクラと盗聴映像を短く繋いでいく最高のオープニング。まず間違いなく無許可での音楽使用だろうけど、グレーム・レヴェルの音楽が映画と相性抜群なのを既に見抜いていたのは凄いと思う。

実在の自殺したアイドルへの憧れを嬉々として話すヒロイン。
痒みとマゾヒズムを描写してるせいか謎に痒くなる。
挿入歌とエンディングにSPK。

盗聴・SM・ビデオテープ。わりと真っ当にミステリーしていると思ったら、最後にブラウン管がこちら側の世界を侵食する。悪意と希死念慮のlate80's。一重まぶたの梁川りおが可愛い。岡田有希子の自殺を語るシーンが印象に残る。「昨日も今日も明日も全然違うんだよね でもあの人は同じだと思ってた なんかそういうの嫌じゃん なんで決まってんの 誰が決めんのよ」。