円柱野郎

攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3Dの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

3D作品としての公開だけど、元になったOVAは2D制作なのでそこから変換しているとなると立体感についてはなかなか難しい部分もある。
特にセル部(正確にはCGだからセルではないが)は、セルごとに浮いているように見せないように作られているせいか余計に奥行き感がイマイチ。
逆に電脳空間を表現したCG部は作り直した効果もあって、かなり浮き上がって見える。
この差は意図的にやってるのかな。
手前に浮かぶ電脳通信のウィンドウインターフェースなどはなかなか視覚的にも効果はあったけども、3Dでなければいけないという構造の話ではない。

ストーリーはOVAから一切変更なし。
原作や押井守の劇場版シリーズとは違い、“人形遣い”の現れなかったパラレルワールドを描いた神山監督の「S.A.C」シリーズ。
「S.A.C」シリーズ3作目にしてその“人形遣い”的な存在である“傀儡廻”を出してきたところは、劇場版へのオマージュのようにも思える。
原作マンガ(1巻~1.5巻)からの様々な場面や設定の抽出と再構築もうまいけど、「S.A.C」シリーズの特徴として相変わらず本筋の話が入り組んでいるので、観ていて非常にややこしい。
虐待児童問題と高所得独居老人という部分を繋げた事件の設定は、現代的な問題を提起したSFとしても良く出来てはいるのだけどね。

シリーズのファンとしては、バトーと少佐のやり取りや、復活したタチコマがうれしかったり、サイトーの活躍などにワクワクしたりと、見せ場が分かってる神山監督には感謝したい。
ただ、他のシリーズとは違って印象に残る敵キャラがいなかったことは物足りないところではあったかな。
まあ少佐自身が…ということに意外性はあるのだけど。
円柱野郎

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