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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのyumeayuのレビュー・感想・評価

4.0
"脇毛3倍"

鬼才と呼ばれるヨルゴス・ランティモス監督の作品の中で個人的には一番気持ちが悪くて嫌いな作品(褒め言葉です)。

美しい妻と子供に囲まれて幸せな家庭を築いている心臓外科医スティーブン。
しかし、少年マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、スティーブンの平穏な日常は一変。ある朝、息子が歩けなくなり、ベットから起き上がれなくなってしまう…。

マーティンを演じたバリー・コーガンの存在感がやばい。何を考えてるかわからない表情と、全てを見透かしてしまいそうな目。スティーブン一家を襲った謎の現象については、ほとんど何も分からないままなのに、マーティンの存在感で全てOKにしてしまう説得力がある。

一方、ダメ親父のスティーブンを演じたコリン・ファレルは、常に眉毛がハの字で困り顔。彼の行いが家族を巻き込むことになってしまったのは、因果応報と言えるのだろうか…。

終盤、家族の命運を握ることになるスティーブンを前に、妻や子供たちはあの手この手で助かろうとスティーブンに懇願する。
家族で一致団結して困難に立ち向かうことは赦されず、命の選択を迫られるスティーブン。このやり取りが非常に醜くて気持ち悪い。こんな意地悪な物語をよく思いつくものだ。

ある意味で、不条理な状況に置かれた人間の姿を突き詰めているとも言えるのだが、いったいヨルゴス・ランティモス監督の頭の中はどうなっているのだろうか!?
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