このレビューはネタバレを含みます
耳が聞こえなくなったドラマーのルーベンと、そのバンドのボーカリストであり恋人のルー。
それまでの人生が一変し、ルーベンは支援施設へ、ルーは過去に遺恨のある父のもとへ。
聴力を回復させるには手術が必要。
ルーベンは自暴自棄になりかけながらも、自分自身を受け入れ、新たな人生を模索し始める。
手術をすればもとの生活に戻れるということを、心の拠り所としていたのだが、その先に待っていたのは全く違う人生だった。
バンド生活までは、お互いが依存しあって生きていた。
どちらも幸せとは言えない家庭に育ち、家を飛び出し、居場所を見出した。
依存しあっていた生活を振り返りつつも、それはいずれ終わる関係であると知ってたんだろな。
二人とも、分別あるいい大人になった。
青春時代から社会人へ。
そんな雰囲気を感じさせる、二人の破局だったなあ。
この映画の面白さは、音。
突然音声が消えたり乱れたり、ルーベンの聴力を疑似体験させてくれる。
そのおかげで、彼の悩みやもどかしさがダイレクトに伝わってくる。
逆に、聞こえなかった音が聞こえるようになった瞬間。
静寂の人生に慣れてきたら、昔は何も気にならなかった喧騒に耐えられないという戸惑いまで。
イヤホンで聴いていても、音を下げたくなる。。