『ダイ・ハード』で見事なキャメラ・ワークを披露したヤン・デ・ボン（撮影監督）。監督に進出した『スピード』でも斬新な空間の切りとり方とダイナミックなアクション描写で魅了してくれた。
彼が次にメガホンをとったのがこのパニック大作。『スピード』のバスを竜巻に変えただけという意見もあるが（笑）、自分はこの映画、かなり好きです。”画で観せる”というムービーの原点に返ったような作りがいっそ潔い。
たとえば、主人公のライバルたち（敵役）の車の色が黒だったり、最初は竜巻追跡に消極的だった主人公の車が黄色だったのが積極的に参加すると赤になったりと、とにかくヴィジュアルで分かりやすく観せるという姿勢が明快なのがイイ。製作にスティーヴン・スピルバーグ、脚本にマイケル・クライトンが加わっているからか、『ジョーズ』や『ジュラシック・パーク』といった娯楽大作の要素がギッチリ詰まってる。
それと、日本の気象予報者は受け身だったり、草食的なイメージだが、今作のトルネード・ハンターたちはアグレッシヴで肉食的なのが印象的。彼らが文字通りステーキを（決戦前に）平らげるシーンは豪快である。台風や津波、地震といった災害が多いわが国でももっと攻撃的に天災を追い詰めるような仕事があったらなあと思う…もちろん、大いなる危険は伴うけれども。
