創

新感染 ファイナル・エクスプレスの創のレビュー・感想・評価

4.0
ゾンビが好きです。

多くのゾンビものの、
人はゾンビになる直前、人生最高の多幸感を味わうみたいな、何の意味もない設定が大好きです。
人生最高の多幸感の後に一回死んで蘇ったらとりあえず目に付いた他人に食いつくってなんじゃそりゃ。

この映画もゾンビになる直前が出てくる。
それは私が好きなのと少し違うのだけど、やっぱり良い。
どうしてゾンビになる直前の人間は美しく描かれがちなんだろう。


新幹線という密室の中で、どう展開するのかとても興味があって観たのだけど、

並んだ座席の向こうに垣間見える何かとか、
車両を隔てるドアだとか、せまーいトイレだとか、
時々通らなきゃいけないトンネルだとか。

普段乗り馴れた乗物がこんなにも舞台装置として優秀だとは思わなかった。

密室の中で繰り広げられるステレオタイプな人間たちのドラマは、なんだか狙われた通りに感情が動いてしまう。

父と娘、妊婦と夫、老姉妹、高校生の部活仲間の淡い恋、運転手のプロ魂、車掌の人の良さ、金に物言わせるオッサンの愚かさ。

それぞれがきちんと役割を果たしていて面白い。


もし、ゾンビに遭遇したら、ゾンビだけじゃなくて周りの人間にも気を付けよう。
汚い人間がこんなにも分かりやすく、俺は最高に汚いぜ!とか言わないもん。
創