アニマル泉

ダゲール街の人々のアニマル泉のレビュー・感想・評価

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)
4.0
ヴァルダが育児中に自宅があるダゲール街の50メートル以内だけで撮ったハートフルなドキュメンタリー。ふだんから馴染みの人々を撮っているのでそれぞれがみせる顔がいい。ヴァルダのナレーションで進み、主人公はいないのだが、行きつけの店の職人ぶりが点描されていく。肉屋の捌き方が素晴らしい。パン屋の奥さんが旦那との馴れ初めを嬉しそうに語るのも微笑ましい。どの店も客との注文のやり取りから支払いまでを丁寧に描く。何をどれくらい買うのかがよく判り、フランス人の飾らない日常が浮き彫りになる。中盤からはいかがわしい奇術ショーとカットバックで商店街の日常が描かれていく。「たたむ」「ひらく」といった同じ身振りをダブらせて場面転換するのが特徴。「繰り返し」はヴァルダの主題かもしれない。登場人物がカメラ目線なのも印象的で特異だ。
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