ゆうすけ

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのゆうすけのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

詩人、小説家でもある最果タヒの同名詩集の映画化。
工事現場で日雇い労働者として働く慎二と、昼は看護師、夜はガールズバーで働く美香のラブストーリー。

見えない者(世界に存在しないも同然の者)として描かれる登場人物たち。人口の多い東京で存在感のない彼らにスポットライトが当たる。社会や情報に気を取られ携帯ばかり見ている人々とは違い、持たざる者だからこそ気がつく景色と感情。夜空は“黒”ではなく、“最高密度の青色”とするその観察が可能なのは、彼らが携帯ではなく空を見上げているからに他ならないし、路上ライブをしている女性に気がつくのも同様である。

見えない者たちは見えない者同士で互いを認識することで、社会から無視されることによる孤独感を埋めている。
工事現場で脳梗塞で死ぬ智之、慎二の隣に住む老人、路上アーティスト、でも彼らは恋を、小説を、音楽を知っている。
ゆうすけ

ゆうすけ