踊る猫

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.5
インテリの大学生が作った芝居の台詞のような不自然な言い回しが最初の内は癇に障ったのだけれど、作品世界に惹き込まれるにつれてそういう不自然さも味なのではないかと思えるようになって来た。点数は低くなってしまうのだけれど、愚直に今という時代と向き合おうとしているその姿は評価したい。最果タヒ氏の詩は「死」と無縁ではない。それでいて「死」を深刻に描くのではなく、何処かポップでライトな感じで描き立てている。その死生観を描くことにおいては成功しているし、俳優陣の頑張りも見事。ただ、やはりストーリーにおいて悪い意味でのご都合主義や強引さが感じられることも確か。主人公の貧乏暮らしぶりも既視感を感じられてならず……この監督はむしろこの作品を撮った「次」こそが期待出来るのではないか。レオス・カラックスが『汚れた血』を撮ったあとに傑作『ポンヌフの恋人』を撮ったようなものだ。期待したい。
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