shiho

否定と肯定のshihoのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
4.6
《プロフェッショナルズ》

冒頭の講義のシーンからもう「あっこれすごく好きなやつだ」と思いました。

私は元々小さい頃から親の影響と自分の好みもありホラー映画ばかり観ていて、高校卒業して進学して一人暮らしを始めてから自分の興味のある映画をどんどん観るようになって、社会人になってフィルマを始めてからそのジャンルの幅がグワッと広がりました。

そして戦争映画。
ナチスやヒトラーやホロコーストを扱った作品は非常に多いですよね。
学校ではせいぜい教科書を両開きにした4分の1程度で済まされた内容でした。
「シンドラーのリスト」で衝撃を受けて、生存者の話を読んだりして、それでもまだ全然、私は第二次世界大戦の全貌がわかりません。いつか観なければと思いつつ『夜と霧』もまだ観る勇気がありません。
この作品を観て、勉強しなければと思いました。
恥ずかしながら、まさかホロコーストの否定論者がいるなんてまずそこから夢にも思わなかったんです。

歴史学者であるデボラを演じたレイチェル・ワイズが素敵過ぎて、美しくて情熱的で、裁判では戦略上発言出来なかったのだけど、彼女の目で語る演技力は素晴らしかったです。

有能な弁護士チームの面々も素敵で、裁判の様子を見ていると自分と同じ人間として括っていいのかと思ってしまう程皆が知性と高貴な精神に満ちていたと感じました。

事務弁護士を演じたアンドリュー・スコット、
法廷弁護士を演じたトム・ウィルキンソン、
そして裁判を起こしたアーヴィングを演じたティモシー・スポール(誰かと思ったらハリポタのペテグリューじゃん!!)、
いずれも良い演技でした。

字幕で観ましたが、怒涛の言論の応酬なので、「ちょと待て今なんつった?」って時々止めながら一生懸命ついていきました(笑)

組織的な大量虐殺が行われた歴史があり、自己の為にそれを否定する者がいれば、人生をかけて証明する者がいる。
人間なんて…って思う一方で人間ってすごいとも思う。
もっと知りたくなりました、私。
人ってなんなのか。

アーヴィングの、悪魔の証明ならぬ「悪意の証明」(【意図的に】歴史を改ざんして嘘の主張をしているということ)をする過程は見応えがありました。

全体的に内容を邪魔しないながらもイギリス的でお洒落な美術、衣装でしたし、撮り方も良かったと思います。

あと、デボラの飼ってるボーダーコリーがめんこ過ぎた。いいこいいこしたい!(笑)

観て良かったです!
レイチェル・ワイズのファンになったので、出演作でお勧めがあったら教えて下さい♪
shiho

shiho