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君の名前で僕を呼んでのzogliのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.2
US版DVDで鑑賞(考古学的なセリフは英語だとわからなかったので日本で公開されたらまた劇場に行きます…)
にがくて甘くてくるしくて素敵な作品だった

美しいだけの同性愛の話ではないので事前情報と印象は違ったけどそれがなお良かった(アーミーも女の子にキスするし、ティモシーは女の子とのセックスシーンまであるのであれれ聞いてないぞ?となりましたね…)

前半のモダモダしてるところも2人の葛藤とそれとなく示している好意のサインとが散りばめられているし、相手を想ってこっそり相手の持ち物の匂い嗅いだりしてるちょっと変態的なシーンとかも思春期の焦がれる気持ちを上手に消化できない感がすごく表れてたと思うし、惹かれ合う流れは1人と1人の人間がどうお互を見つけて気にして落ちていくかって描かれ方だったのでLGBT映画と意識せずに観られると思うし、あのくらいスローテンポだからこそ後半の想いが通じ合ってからの流れに生きてきたのだと思う

エリオが「これまでなんて時間を無駄にしてたんだろう!もっと早くにあなたとこうなっていられたら……!」とか言ってるあたりの、迫り来るオリヴァーとの別離に焦ってる気持ちと時間が巻き戻せなくてもどかしい気持ちと残り時間少しでも一緒に居たい気持ちが痛いほどわかってとにかくボロボロボロボロ泣いた

ティモシーは、前半のひとりでぐるぐるうじうじしてるシーンも、アーミーにすがりついてキスする可愛らしさも素晴らしいんだけど、何よりも想い人を見送った後に1人でもう何も出来なくて立ち尽くして電話で泣きじゃくるあたりからエンディングまでの、どうしようもない恋心と絶望の陰が混じったお芝居がとてつもなく説得力があるところが素晴らしかった

あのラストだからこそ刹那の恋の青さと眩しさの瞬発力を高めて印象深い映画にしてるのでは(ちなみに監督はあの長回し、ティモシーに「ドライ」「セミドライ」「ウェット」の3通り要求して3パターン撮影したうち、採用されたあれはセミドライバージョンだったそうで ちょっと他のエリオも観たかった…)

エリオの家族がとても愛情深くて、2人を見守る立場として描写されてるのが救いだったしあの時代で無ければ2人の未来は違っていたのかなと少し思わせてくれた
あのお父さんのラストのとこの話、日本語だとどういう表現を選んで上映してくれるのかなー

物語全体は英仏伊語ミックスで進んで行くので多言語作品好きにはものすごく楽しいし、アーミーハマーが(簡易なものとはいえ)イタリア語を話すのもなかなか素敵なので是非!

しかし日本版ポスターのフォントのダサさはなんなのだろうか…日本版トレイラーもあまり好きじゃない
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