滝和也

ローガン・ラッキーの滝和也のレビュー・感想・評価

ローガン・ラッキー(2017年製作の映画)
3.8
田舎の英雄。
不思議なテンポと
間のある笑いで
紡がれたオーシャンズ7・11

「ローガン・ラッキー」

オーシャンズ11のソダバーグ監督が贈る復帰作にして、得意のケイパー(強奪)モノ。

呪われたローガン家。妻に去られ、最愛の娘と会えなくなりそうな嘗ての地元の英雄である兄(チャニング・テイタム)。仕事も解雇された彼は、イラク戦争で片腕を失った弟(アダム・ドライバー)と美容師の妹と一発勝負に出る。巨大レース場の売上強奪を計画した彼らは必要な人材として金庫破りのジョー(ダニエル・クレイグ)を仲間に加えようとする。だが彼は刑務所に収監されていて…。

アメリカの片田舎にいる底辺の労働者階級がほんの少しの幸せを手に入れようと藻掻く様を、不思議なテンポと間の抜けた様な笑いで繋ぐ佳作。

オーシャンズと同じジャンルであり、監督のお得意の内容だが、今作はド素人集団の四苦八苦した強奪を描き、違いを出してくる。故にスピード感を落とし、間で笑わす様な展開且つキャラのバックボーンを重視しており、一風変わった味わいを出して来ている。この不思議な雰囲気には好き嫌いはあるだろうし、退屈に感じる方もいるかもしれないが、私は何となく好きかなと(笑)

オーシャンズにある様なスピード感やプロの挟持、ストレートなスタイリッシュさは無いものの、その不思議な味わいは別のオシャレ感が漂う。またど素人集団とは言え、その大胆不敵な手口の楽しさや捻りがきっちりあり、別の意味で犯罪モノである後味の悪さも無く、実は痛快さは変わらない。

主人公チャニング・テイタム演じるローガン兄が上手く書き込まれており、アメリカのプアホワイト層を代表する様な人物像であり、間違いなくトランプ支持者だろうなと思わせる(笑) 可愛い娘と会いたいと言うだけの慎ましやかな幸せを望む好人物と言う印象が残るのは、この作品が痛快なケイパーものとして成功してるからだろう。

またローガン弟のアダム・ドライバーの独特の存在感。好き嫌いはあるだろうが、あののっぺりとしたヌーボーとした存在は彼ならでは。SWがミスキャストなのかなと思うくらい(笑)

更にダニエル・クレイグの如何にも犯罪者らしい下衆な感じは、本人が楽しんでる(笑)としか思えない。本来、犯罪者顔で007に決まった際、非難されたことを逆手に取った皮肉なキャラであり、英国紳士らしいブラックジョークを感じます(^^)

ソダバーグ監督の出したテイストは、何処かガイ・リッチー的な味があり、(元々似てる所はありますし、そこ迄ぶっ飛んでないけど(笑))そちらのファンも楽しめそう。美味く纏まった佳作ですね。

追記 女優さんについて…ローガン妹さんは美人さんでオススメ。ムスタングを転がす美女は好み(^^) 後ヒラリー・スワンクがちょい役ですが効いてます(^^)

追記2 エアーシューターが懐かしい…。昔は良く、ある場所で使ったもんだ(笑)
滝和也

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