地味な男子高生・志賀は、クラスの人気者・桜良が難病で余命が少ないことを偶然に知ってしまう。
その負い目から、彼女の”ワガママ”に付き合わされる志賀だったのだが…。
いくら魅力的な女の子とはいえ、”猟奇的な彼女”に振り回される主人公が気の毒になってしまう。
思わせぶりで、自信たっぷりで、まるで”蛇の生殺し”状態。
普通だったら逃げ出したくなるところだけど、それは無理。
なぜなら彼女は、もうすぐ死んじゃう、から。
ここで思い出すのが、クリント・イーストウッドが『グラン・トリノ』で演じたコワルスキー。
あの老人も、己の死期を知ればこそ、ワガママを通し、後悔しない言動を行なっていた。
ただホントは、これを書いてる「ワタシ」も、読んでる「アナタ」も明日死んじゃうかもしれない。
桜良やコワルスキーのようにゴールがクッキリと見えている訳ではないけど、必ず終わりは来るのだから、彼らのように後悔の無いように生きたい。
…っていう風に観た後は強く思うんだけど、「ワタシ」も「アナタ」も一週間くらい過ぎると忘れちゃって、またのんべんだらりとした毎日を送りがち。
風邪が治ると健康のありがたみを忘れちゃうみたいに…。
そういう大事なことを再確認させてくれるエンタメとして、本作はいい出来だと思うけど、あんまり高い点☆を付けてないのは、小栗旬とか北川景子が出ている”現代篇”が要らないんじゃない?、って感じるから。
”過去篇”の主演のふたり(浜辺美波と北村匠海)がすばらしく、その世界にどっぷりひたっていたいのに、”現代篇”が邪魔をする、ノイズになる。
現代パートが無くても充分成立するお話だと思うけど…蛇足じゃないのかなあ。