Aircon

ムーンライトのAirconのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.9
なんか顔をちゃんと撮ってる印象。
黒人の顔が目に焼き付いてる。

黒人の少年が大人になるまでの三か所を切り取った形で、
時間がバーッと流れて次の章になると、章をまたがった因果関係にはそれほどフォーカスせず、自然な変化が起きていて、
フィクションなのにノンフィクションよりナチュラルな感じで、
これくらいがリアルだなって思える。
現実はこれくらい厳しいって感じのリアルじゃなくて、
マイナスにもプラスにも脚色しない感じ。
少年の成長物語って感じでもなく、映画的に面白い展開に無理やり引っ張らない。
かといってつまらないわけじゃなくて、映画としてはおもしろいポイントがたくさんあった。

一番好きだったのは1章の売人のおじさんの扱い方。
主人公の父親代わり的な感じで、でも主人公の母親にドラッグを売っていて言い争いになったり、
普通なら、主人公周りの問題と売人のおじさん周りの問題でうまくドラマにしていくんだと思う。
最初の手下っぽい売人とかがなんかミスしたり。

良かったところを書こうとすると否定語を使わざるを得ない、
「~ではない」ところが良いっていう不思議な感じ。
絶妙な表現だけど、引き算的な間引きのセンスの良さではなくて、
つまり後から余計なものを削り取っているというよりは、
最初から加工されていないリアルな状態で、
あとは組み合わせとか見せ方とかで、
そういう順番っぽい感じがした。
そこがこの映画の良いところで、
他のリアルな感じの映画とは少し違うところだと思う。
作り方としてはこっちのほうが全然難しそう。

あとはやっぱり顔というか表情をいっぱい撮ってるなーと思った。
その迫力だったり表現がアカデミー賞の決め手なのかなーと個人的には思った。
Aircon

Aircon