ふたば三十郎

ムーンライトのふたば三十郎のレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.8
アカデミー作品賞の本作だが、まず監督賞こそ受賞すべきと感じた事を記したい。
というか、自分の評価はこれに尽きるかなと。

こと演出とその手腕で比べると、『ムーンライト』>『ララランド』だと思うんだが、結果は『ムーンライト』が作品賞で『ララランド』が監督賞って、う〜ん、分からん(笑)逆でしょ⁉︎
まあ、アメリカでは、つーかアカデミー会員はそうなんだろうなと想像はつくが。

ぶっちゃけマイノリティーをテーマにした作品としては、そこまでインパクトも目新しさもない。
アメリカで描くには衝撃なんだろうけど。

それより、一切ムダなカットがなく、月明かり以外にもあらゆる照明と色で照り返す黒い肌と自然の効果音で感情を表現し、何より登場人物の心情を観客に一緒に体感させるカメラワークなんて、脚本に書かれている以上のものを映像で魅せる監督の力量は凄いの一言。
しかもその狙いが全部成功してるなんて驚異的だと思う。

物語終盤、シャロンが駐車場から店に入るシーンで、わざわざ入り口から離れて車を停めて歩いていくワンカットの説得力なんて、正に映画でしか表現できない真骨頂だと思う。

こんなの見せられたらIMAXも4DXも要らんかったんやと言いたくなってしまう(笑)
無駄にスクリーンがデカくなくても、また座席が動いたりしなくても、こんなにも観る者を揺さぶり感情移入させる事が出来るんだと。
まあ、でっかいスクリーンでキングコングとか観るのも大好きなんですが(笑)
☆☆☆★★★