yukihiro084

女神の見えざる手のyukihiro084のレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.8
将棋は、派手に動く駒より、
目立たない動きをしている駒の
警戒を怠ってはいけない。
相手が気付いた時には、右にも左にも
いけないような状況を作り出す、
つまり数手先に効いてくることを信じて、
狡猾に罠を仕掛けておくものだと思う。

(女神の見えざる手)を観た。
面白かった。素晴らしかった。
ジェシカ・チャスティンが本当に本当に
素晴らしい。彼女は(help)で
オスカーを取るべきだった。

映画が生まれる瞬間をよく想像する。
ひとりの脚本家がある日、ストーリーの核に
なるような何かを見つける。
それは出だしかもしれないし、
逆にオチかもしれないし、
キャラクターかもしれないし、
コアアイデアかもしれない。
親しい友人や家族に簡単なプロットを話す、
本人が予想しているよりも確かな
リアクションが返ってくる。
脚本が出来上がり、映画会社の手に渡る。
みな興奮ぎみに、主演はジェシカしか
いないだろーと、具体的に話は進んでゆく。
(ちょっと面白い話があるんだ。
聞いてくれよのバトン)が人から人へ
渡されてゆく。

この映画の脚本には、そんな勢いを感じる。
ストーリーテーリングの力強さが感じる。

映画はシェークスピアのような、または
スパイ映画のような様相を見せながら、
予測不可のままエンディングに向かってゆく。

いや、本当に面白かった。
参りました。投了。
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