噛む力がまるでない

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣の噛む力がまるでないのレビュー・感想・評価

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バレエやダンスを知らないわたしにもセルゲイの才能はわかるし、彼の抱えてきた苦悩が身体や踊り、タトゥーから見て取れる。もうそれだけでなんだかすごかった。

ドキュメンタリーでありながら物語のような締まり方にはカタルシスがあるし(このへんは構成がうまい)、エンディングで見せる踊りにはネクストレベルをひしひしと感じさせ、恐ろしさすらありました。

誰にも少なからずあるであろう「これが自分だって」という瞬間。
跳んでる時に思うよと、ガブガブ清濁併せ呑んできた彼がそう話す姿にこちらもとても勇気づけられました。

印象的だったのが、序盤のリハーサルで踊るセルゲイをほかの女性ダンサーたちがわらわらと見とれているシーン。(もう少女漫画じゃん……)と開いた口が塞がりませんでした。