ひろぽん

タリーと私の秘密の時間のひろぽんのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
3.2
母として3人の子どもの世話に追われる完璧主義のマーロ。疲れ果てた彼女のもとに、ナイトシッターのタリーがやってくる。タリーは自由奔放だが仕事ぶりは上々で、マーロの悩み相談にも乗ってすぐに信頼を得ていく。タリーのおかげでマーロは元気を取り戻していくが、彼女にはある秘密があった。3人の子供を世話する主婦と、夜間だけ赤ちゃんの面倒を見てくれる子守との交流を通して子育ての苦労を描いていく物語。


序盤から2児の母として子育てのリアルな日常が描かれていく。母として子育てに奮闘しているマーロと、仕事から帰ってきて1人ゲームに夢中になり育児に参加しない夫・ドリュー。子どもたちの面倒を見ながらワンオペ育児をこなしているマーロの姿がとても衝撃的だった。

2人を育てるだけでも大変なのに息子のジョナには障害がありパニックを起こして騒ぎ出し、オマケに3人目が生まれ睡眠時間が減り疲弊していく悪循環な毎日。考えただけでも恐ろしく鬱になりそう。

子ども優先で自分のことは後回しになり、ストレスによる過食でダルンダルンの肥満体型へと変化していく。ドンドン魅力的な女性から遠ざかっていき、睡眠不足で精神も不安定になる終わりなき生活が永遠と続いていく。

そんな今にも爆発して崩壊しそうな生活に突如現れた光となるナイトシッター・タリーの存在。マーロに理解を示し、信頼を勝ち取り、オマケに仕事も完璧にこなす。チャラチャラした見た目からは想像できない仕事ぶりとキャラクターがとてもクールだった。

だけど、いつも現れるのは夜で何故か全く自分のことは話さないタリー。いつも自分に無いものを持っている理想のような存在。

ラストに明かされるタリーの秘密が衝撃的だった。そして、マーロとジョナの最後のブラシのやり取りや、家事を手伝おうとするラストのドリューの姿にはほっこりさせられた。


育児において誰か周囲に頼れる人を見つけることや、完璧を求めすぎない事が大切なんだとこの作品を通して実感した。

育児に対するあるあるやメッセージが沢山詰まっているから、子育てをしている人やこれから子育てをする人に観て欲しい作品。特に男性は見た方が良い。とても考えさせられる。

そして、役作りとして18キロも増量したシャーリーズ・セロンの役者魂には感服。モデル体型の彼女が、普通の主婦に見えるのだから本当にびっくり!

至る所に伏線がはられており、みていて違和感の感じるところは大体伏線になっている。そういった所に注目して2回目を観てみるのも面白いのかもしれない。人魚についてはよく分からなかった。

果たして育児の限界を超えた先に見える世界は幸か不幸か、衝撃のラストが待ち受けている作品。
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