古典的だがテーマは現代的
「オリエント急行殺人事件」の結末は広く知られているためか、本作は犯人探しに重点をあまり置いていない。
監督兼主役のケネス・ブラナーはじめ、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、そしてジョニー・デップと主役級の名優たちをズラリと配置して、掛け合いの面白さで2時間を突っ走る。
それに加えオリエント急行が走る映像の美しさだけでお正月映画としては充分ではないかと思う。
多少騒がしい音楽と展開は気になったが。
善と悪、この世には二つしか存在しないと豪語する名探偵ポワロが、そのどちらにも分け難い局面にぶつかった時どうするか。
このテーマはさまざまな境界が曖昧な現代において、原作や先行した映画版の時代よりも重要な意味を持っているように感じた。