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サーミの血の10000lyfhのネタバレレビュー・内容・結末

サーミの血(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

スウェーデンのマイノリティ、サーミ人高齢女性の、個と集団のアイデンティティの間に揺れた 1930年代の少女時代の回想。21世紀作品らしく、相反する価値観が主人公 1人の中にすら乱立。冒頭、高齢主人公が自民族を「物盗りで嘘つき」とディスるが、過去に自分もやっていたというブーメラン。言語は奪い(どちらが上かをわからせる)、民族衣装は強制し(対外的な目印機能と、隔離して民族的役割を維持)、恣意的な「科学的」研究で抑圧者/被抑圧者双方を「被抑圧者は劣等民族」と洗脳し、といった隔離政策や、それを受容するサーミ人コミュニティの閉塞感には、反発する主人公に共感。一方で、トロフィ/チケット/裏切りとみなされるマジョリティとの同化指向、ちょっと無邪気すぎでは?視聴後に冒頭を観直し、西洋ポップスと融合したヨイク、ファッショナブルに進化した民族衣装、何より彼女自身の「スウェーデン」な息子や孫娘のサーミ文化の肯定受容など、主人公が歩んだ苦難の道をあっさりと押し流してしまう時代の変化に圧倒された
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