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サーミの血のandhyphenのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
4.0
これ観るの大変しんどかった。
無知なので「サーミ」を知らなかったが、頭の大きさから何から測られて全裸にされて写真を撮られるシーンがあり、そこから「サーミには学術的に高等教育は向かない(=暗に下等だと言っている)、街に出れば絶滅する、伝統を守るべきだと教師が言うシーンにつながりもう観ていられない気持ちになった。
主人公は全く悪いことをしていない。ただただ自分の可能性を信じて進もうとするだけ。名前を偽ったりはするけれど、そうでもしなければ抜け出せないのだ。だが街も故郷も彼女を責める。その孤独は想像するに余りある。
主人公は「見世物になるのは嫌」と家族の前で言う。そう、彼らは見世物扱いなのだ。自分を高等だと思う人間たちの。
今の社会にもそういった思考が潜んでいる。潜んでいるというより表出している。それを心底恐ろしいと思う。
主人公の辿る道のあまりの厳しさに何度もスクリーンから目を逸らしてしまった。別に映像が残虐なのではない。言葉が痛いのだ。言葉で人は人を殺せるのだ。
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