リコリス

空海 ーKU-KAIー 美しき王妃の謎のリコリスのレビュー・感想・評価

4.2
チャン・イーモウの楊貴妃 レディ・オブ・ザ・ダイナスティを見た勢いで、前から期待してたチェン・カイコーのこちらを鑑賞。

イーモウのは完全に現代歌舞伎みたいなもので、昔ながらの伝承譚を考証無視の映像美で女優さんPV…だったが、こちらは若干考証+VFX満載の、いわば大唐版「薔薇の名前」。

楊貴妃をめぐる真実よりも、ワトソン白楽天の時代を超える詩人となる自負と、表現する詩・真実への責任感や、ホームズ空海の嵐の海の遣唐使船での幼子を抱いた母との出会い「この児が寝たから、私も穏やかです」云々の、幻術から歴史上の出来事まで惑わすものがあっても揺らがない自己と真実の探求、こうした二人の鍛練修行を兼ねたバディ関係が面白い。

真実だけを見ることが出来る人と認められた空海が、青龍寺に受け入れられたラストも(西瓜で伝授すべき弟子を探していたのね、恵果さま)

面白い…とはいえ、チャン・イーモウに続き、チェン・カイコー、あなたまで、何故……嘆息、という残念さは否めないけど。
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