群青

THE BATMAN-ザ・バットマンーの群青のレビュー・感想・評価

3.7
2022年劇場観賞4作目。
吹替で。


DCコミックは元々ディテクティブコミック。探偵モノ。今作はそれに立ち返り、セブンやゾディアックのような劇場型犯罪に立ち向かうサスペンスタッチの作風となっている。


DCEUのベン・アフレックは作風とは合わなかったのか降板。代わりに出てきたのは、ハリポタ・トワイライトから最近はTENETまで、出る作品出る作品で観客を沼に落としてきたロバート・パティンソン。ついでに吹替も沼に落としがちなイケメンボイスの櫻井孝宏。
ちなみにロバート・パティンソンはTENETを撮影中に今作のオーディションした模様。TENETの監督ノーランからバットマンでしょ?と聞かれたらしい笑
ダークナイトのノーラン監督をやりながらバットマンとは…縁ですなぁ。

対するヴィラン なぞなぞでバットマンに勝負を挑むリドラーはラブ&マーシーでこれまた二面性のある役を演じてたポール・ダノ。こちらの吹替はなんと石田彰!
櫻井孝宏vs石田彰!そりゃ吹替ですよ!


探偵モノなのでなぞなぞを仕掛けるリドラーが敵というのはまあ順当。字幕と吹替でニュアンスが少し異なるような気がしたが、まあ気にするまい。
一つ謎が解けるたびにまた一つ謎が増えていく。その謎を解いていくと思いもよらな真実に辿り着いていく…


今回のバットマンは活動を始めてまだ2年。律儀に日記をとっているが、俺こそが影だ、と日記に書いてしまうくらいには精神状態が限界に達しているような笑
ブルース・ウェインとしての顔は最早なく、バットマンの方が表か?なくらい。食べ物はベリーしか喉を通らず、お金持ち目当てのチャリティもしない。
完全に経営者としては破綻しているその追いこみようが、2年目の余裕のなさや未熟さになっていて、これまでのバットマンとは一味も二味も違っていた。
第一、最初の一言が俺は復讐だ、だからもう完全に心は犯罪への憎しみしかない。要は疲れ切ってます笑


そんな復讐に燃えるバットマンが相手にするリドラーは、追っていく内に自分と同じような復讐に身を燃やすヤツだ、というのが分かってくる。
ただ、肝心のリドラーが仕掛ける謎について登場人物たちの人間関係が複雑に関わってくるし、なんなら劇中時系列において過去の人物も関わってくるので、今作で初めてバットマンという作品を観る人に分かりづらいところかもしれない。
バットマンがなぜバットマンになったのかという話や、唯一の味方にゴードン刑事がいてとか、ペンギンは闇の世界の実力者で、マローニとファルコーネはマフィアでとか、初見の人はわかるんだろうか?
少なくともバットマンとスパイダーマンは出自を語らなくても過去に何があったが分かっている、そんな前提が出来上がっていないと難しいと思う。これは結構すごいこと。
確かに映画で何度も描いてはいるが、それでもマンガのいちキャラクターがオリジンを端折れるなんて。少なくともアメリカではもう常識なのだろう。

バットマンはリドラーこそが自分以上に復讐心を持っていた相手だというのが後半の後半、ようやくわかってくる。
そこから彼が起こす行動が明確に、利己から利他に変わっていく。ゴッサムを変えるためとはいえ、結局のところ復讐が原動力だったバットマンが、人を助ける行為をするのは唐突に見えるけど、今まではっきり描いていなかったので逆に新鮮。
終わり方としてもスッキリ。
バットマンビギンズとはまた違った形のバットマンに成る話になっていた。


それにしても、、、
長え!千鳥のノブのように連呼してしまう。長え!笑
ちなみに冒頭の強盗をノブが吹替えている。タレントのよくある主役起用とかではなく、一言二言。このくらいの塩梅でいい。

ノブは置いておいて長え!(置ききれてない)
176分は長えよ!笑

なんかこう色々あった作品の最終作で176分です!なら分かるけど、単体で皆さんこれが初めて見るバットマンのキャラクターの作品なんですね、それで舞台の説明から入り、今回のバットマンはこんな感じです!を見せつつ、同時にハイ、今回のヴィランはコイツです!をやって、
その犯行現場にバットマンが来て、もちろんヴィジランテだから警察に煙たがれつつも犯行現場を調べて、そこになぞなぞがあって、、、、、長え!

舞台説明からドラマの起承転結を濃厚に贅沢に使っている。
ただ、部屋に入るだけなのにバットマンがゆっくり歩く。重苦しい顔。重い靴音。しかも流れるのはニルヴァーナのスロウなあの曲。 しんどっ!(褒め言葉)
しかも今回、会話をするのが犯行現場、バットシグナル、ペンギンのラウンジ、と少なく代わり映えがないので画面的には少し退屈。
しかしその間もバットマンの疲れ切った顔、キャットウーマンの妖艶さ、ペンギンのしたたかさ、ファルコーネのクズさが濃厚に漂っているおかげで間がもっている。
俳優陣の良さですな。


とにかく贅沢さでいうと近年の作品の中では随一。
176分を使って探偵モノ バットマンを観てやる!!という気概しか伝わってこないのでカロリー消費が大変高かった…疲れた(褒め言葉)

今作を観る時は、前日たっぷり寝て元気な状態で観るのが吉。
尺もさることながら、内容的にも体力を奪うので笑
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