ベルサイユ製麺

blank13のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
3.1
意外と多い!


俳優が撮った映画をレビューしてみました。
この作品の予告編って、ボーっと見てると「万引き家族にこんなシーン有ったっけ?」って思っちゃいますな。
俳優の斎藤工さんの監督作品です。
自分は実は映画秘宝もペラペラっと立ち読みで済ます程度なので、斎藤工さんのパーソナリティはあまり存じません。ボンクラ側なのは何となく分かる、というぐらい。なので個人的にはとにかく声の良いイケメン俳優という程度の印象。



働かずギャンブルに熱をあげる父。優しい人で、家族に手を上げたり怒鳴ったりはしなかったけど、彼のこしらえた借金のせいで、家族はいつも息を潜め狭いアパートで暮らしていた。
ある日、タバコ買ってくると言ってそのまま蒸発した父。母は2人の息子を食わせるために昼夜問わず身を粉にして働き、そのために身体を壊してしまった。息子たちは生きるために新聞配達をして…とにかく苦労をいっぱいした。
それから13年後。父が亡くなった…。



父にリリー・フランキー。母に神野三鈴。長男ヨシユキに斎藤工。次男コウジに高橋一生。主にコウジの視点で物語は進みます。コウジの恋人?妻?役の松岡茉優は、オーラ全消し。勿体ない…。

…良く分かんないのですけど、撮影は良い感じだと思います。要所要所で斎藤工の癖、というか拘りのショットが出てきて、ちょっとこそばゆい感じ。
あらすじで書いた部分は非常にウェットな貧困家庭の描写が延々と続き気が滅入ってきますが、ここまでがアヴァンタイトルになってまして、映画のキモの部分は父の葬儀のシーンになります。生前の父の生活のはちゃめちゃさを物語る余りにガチャガチャな参列者。通好みのバイプレイヤーや怪優が揃っております。

でまあ、先に言ってしまうと、自分にはあんまり合わなかったです。せっかくなら例えばもっと神戸浩さんが滔々ととりとめの無い話するのとかを見ていたかったのですが、佐藤二朗さんがMC的にマイクを回していってしまうので、なんとなくテレビのバラエティ番組を観ているような気分になってしまった。想像力を剪定するって感じ。そもそもそんなに笑いの要素、全面に要るかな?
家族のドラマに弱いという方多いと思う、というか大抵そうなのだと思うのですが、自分がそうでもないものだから尚のこと…。
70分くらいで助かった…と思ってしまったのだけど、逆に、もっとうんと長い、3時間くらいの作品にした方が好みだったのかもしれない。ウンザリし足りなかったのかも。


正直、職業監督でももっとうんとつまらないモノしか撮れない人いっぱい居ますし、ホントに撮りたいものが形になったら是非再度メガホン取ってほしいですね。何しろ“ボロい雀荘でリリーさんと杉作J太郎さんと蛭子さん(!)が麻雀やってて、そこの壁に『メガフォース』のポスターが貼ってある”なんて画は、世界中探しても誰も撮れませんからね!

…これ、ガッチリ撮影現場に張り付いたメイキング見たいな。言うこと聞かない怪獣みたいな演者達相手にして、深い溜息をつく憂いの斎藤工を見たいじゃないか。あー、ええ声…😔