このレビューはネタバレを含みます
幼女樹脂詰め殺害事件の冤罪疑惑を調査していたビデオジャーナリストの九堂仁。事件の真犯人と名乗るカエル男に娘を誘拐され、彼女の命と引き換えにミホという女子高生を攫うよう命令される。
最悪に胸糞が悪かった。
SAWシリーズとの類似を指摘している人がいる。確かに九堂仁については人の不幸をメシのタネにしていた節がないわけではないので無罪とは言えないだろうが、ミホとその父親に関しては、あれほど酷い目に遭うことに関しての理由づけがまったくない。
女子高生が突然拉致され、通りがかりのチーマーにレイプされそうになったり、自分の娘を人質に取られた男に延々と殴られたりする。
カエル男に捕まっている九堂の娘もミホも、殴られると「ごめんなさい…ごめんなさい…」とひたすら謝る。何も悪いことなどしていないのに。謝れば暴力が止むと思っているかのように。
自分にはそんな経験がないので、その台詞に「リアル」だの「あの状況でそんなこと言うはずがない」だの判断できない。しかし、圧倒的な絶望の光景をこれでもかというほど見せつけられた気がした。
カエル男が残虐行為を「作品制作」と見なしている点が、白石監督のこれまでの世界観に合致している。しかしクトゥルフ的な古のものを召喚しようとしている訳ではない。このスピンオフの時点ではカエル男の動機が一切分からないので、本編に誘導される。
カエル男が2組の親子を蹂躙して終わる鬱エンド。「神様ぶってるこいつ、本編では小栗旬にぶっ殺されねーかな」と思わされるので、序章としてはこの上ない成功だと思った。
本編はこれを超えられるのだろうか。