がんがん

クルエラのがんがんのネタバレレビュー・内容・結末

クルエラ(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

良かった点と悪かった点を白黒つけたレビューにしたいと思います。



良かった点


⚪️衣装デザイン最高
予告でもさんざん流れた、炎で白いドレスが燃えてクルエラになるシーンなんてほんと至高のカット。


⚪️子供エステラが素晴らしい
キックアスの頃のクロエちゃんの雰囲気があって、ずっと子供エステラを見ていたかったです。


⚪️エマストーンの流石のお芝居
エステラもクルエラもどちらも見事に演じきっていて、まるで違う女優さんが配役されていたかのよう。抑圧されたエステラと解放されたクルエラ、この両キャラクターの主題を完璧に表現されていました。


⚪️とめどないマークストロング感
マークストロングがめっさマークストロングしてました。マークストロングしたい人は安心してマークストロングできます。安定のマークストロングみ。




自分にはハマらなかった点


⬛︎普通に面白い映画
ディズニー作品って良くも悪くも味付けが普通なのは仕方がなくて。全世界の老若男女みんなにとって普通に美味しいご飯を出してくれる。

でも自分の場合は、99人が不味いって言うのに、わたし1人だけくっそ美味い!!刺さる!!ってなるやつがどタイプなので、ディズニーにそれを求めること事態が間違っているのですが…本作は薄味のJOKERにしか感じませんでした。みんなが普通に美味しいっていうJOKER。

そんな普通に美味しいは要らない。本作のテーマがまさに「人に嫌われたっていい、自分がしたいように生きろ」を描こうとしていたのに、「だんだん悪名高いヴィランには実は悲しい過去があった」を描こうとしてくるので、あぁやっぱり普通に美味しいで着地させにくるのかと思った次第です。

なので前半の子供エステラと、プラダを着た悪魔が始まり出した真ん中ら辺までは最高でした。


⬛︎見せ方の平坦さ
誰もが楽しめる普通のアングル。見やすい普通のカメラワーク。ストーリーを理解しやすい普通の編集。これが大変つまらんですよ!

せっかく70年代パンクやロックを使ってるのだから、もっと静と動で抑揚を効かせればいいのに、全編に渡って満遍なく普通にカッコいいシーンが出来上がってしまってる。くっそださいシーンこそがくっそカッコいいのに…全編普通にカッコいいんですよ。普通に。

みんなと同じ普通なんてもんはクソ喰らえ!がテーマなのに、普通に美味しい普通なヴィランオリジンでした。振り切って白黒付けてくれればいいのに、無難にグレーで普通に普通でした。


⬛︎ディズニーの優等生っぷり
本当にディズニーはつくづく優等生過ぎると改めて思いました。

越えてはいけない一線を越えざるを得なかったホアキンジョーカー。越えてはいけない一線を越えずに済んだエマクルエラ。この主題を真面目に描いたディズニーはやっぱり優等生だと思います。ジョーカーには何が無くて、クルエラには何があったのか。

作家性や作為性を出し過ぎるとノイズになる。ディズニーはきっとそれを適切に理解しているからこそ、全世界の人々に愛されている。センスオブワンダー溢れる尖った芸術性を求めること自体がナンセンス。ディズニーは何も悪くない。

「みんなが求めている悪役を演じているだけ」みんながディズニーに求めているものを、ディズニーは作り上げただけ。反体制的パンク精神を描こうとしているのに、ママが望む私になる、世間が求めるクルエラになる、に着地したのは本当に普通に優等生過ぎる…

わたしにハマらなかっただけでとても素晴らしい普通の作品だと思います。
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