ゆめちん

ライ麦畑で出会ったらのゆめちんのレビュー・感想・評価

ライ麦畑で出会ったら(2015年製作の映画)
3.5
ライ麦畑で出会ったら

監督自身の体験を基にした作品ということで、楽しみにしていました🎵🎵

1969年のアメリカ・ペンシルベニア州。演劇サークルに所属するジェイミーは、「ライ麦畑でつかまえて」に魅了され、本作品の演劇化を試みるために、同じサークルの少女ディーディーと共に、原作者であるサリンジャーを探す旅に出ます。

夕日に煌めく幻想的な綿毛畑の風景や、赤く染まった紅葉の葉がとても美しく、クラシックな車がそれに色を添え、まるで二人と一緒に旅をしている、そんな気分にさせてくれます。

序盤はジェイミーの高校生活の苦悩と孤独が描かれ重苦しく映りますが、全体的にほろ苦くも甘酸っぱい青春を描いた、温かい気持ちになれる作品だと思います。

ディーディーの大きな存在。
ジェイミーのあらゆる感情を優しく受け止め、温かい愛情で彼を包み込み、そして心の扉を開けてくれるディーディー。
彼女の存在なしに、ジェイミーは人として大きく成長できなかったでしょう。

そして、サーリンジャーを演じたクリス・クーパーの秀逸な演技。
気難しそうな人物に映りますが、発する言葉にはどれも重みがあり、自分の作品に自信と誇りを持っていて、他人の手が加わることを拒む姿勢には説得力がある、そんなサーリンジャーの人物像すべてが、スクリーンからひしひしと伝わってくる演技は流石でした。

"ライ麦畑へのラブレター"という言葉が出てきます。
私の想像ですが、監督はこの作品をそう比喩し、「ライ麦畑でつかまえて」への"思い"をスクリーンいっぱいに散りばめたのではないか??そんな監督の愛に溢れた作品なのでしょう。
ゆめちん

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