えいがうるふ

サスペリアのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

サスペリア(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ああ、まさか自分がホラーに満点をつけるとは。
自分の場合、評点4.9と5.0の間には結構な壁がある。
映画としての総合評価に加えて、自分の癖(ヘキ)に合致したかどうか。
或いは何かしら個人的な思い入れがあるかどうか。
その自分でもよく分からない評価ポイントが最後の0.1になる。
従って、高い壁はあるが乗り越える時には全く迷いがない。
この作品は自分にとっては満点です。

ユジクで旧作と立て続けに観られたので比較鑑賞。
結論から言うとどちらもその時代を代表するアート・ホラーの傑作といえると思った。ちなみに旧作はまったく怖くなかったが、こちらはさすがに映像技術が段違いなこともあり、殺人描写はリアルでガッツリ恐い。が、それも含めてとにかく期待以上に映像が美しくて、好奇心が恐怖心に勝ってしまった。

無伴奏で踊るヒロインの全身の隅々まで気の入りまくった舞踏の迫力たるや。人の身体ってこんなに美しく動かせるんだなぁと見入ってしまった。そして後半の真紅の衣装の群舞。これほど怖くて美しくめっちゃ力の入ったダンスシーンが観られる映画もなかなかないと思う。
さらに特筆すべきはティルダ・スウィントン演じるマダム・ブランの表情や美しすぎる立ち居振る舞い。神々しいという表現がまさにぴったりで、いちいち拝みたくなる。こういうヒール寄り、あるいは天使と悪魔の顔を併せ持つクールな人外キャラを演じさせたら彼女の右に出る女優はいないのでは?
自分もしや百合っ気があったのか?と知らない自分が覚醒してしまいそうなぐらいうっとりしてしまった(汗)

ストーリーもただただシンプルでひねりのない旧作とは一線を画し、魔女の母性愛すら感じさせるエンディングに良い意味で意表を突かれた。こういったガチホラーにおける「母は強し」展開、どうやら自分はかなり好みで、思えば今まで「サイレント・ヒル」が好きなホラー映画の筆頭だったのもそのせいかもしれない。

そんなこんなで大満足の映画館からの帰り道、
「いやー、思いがけずいい話だったね!」と素で感想を漏らしたら、
「え?罪のない人すっごいたくさん死んでんじゃん!何いってんの!」
と娘に即ツッコミをいれられて我に返った母であった。