たけちゃん

羊と鋼の森のたけちゃんのレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
4.0
いい羊が、いい音を作る!


橋本光二郎 監督 2018年製作 原作 宮下奈都
主演 山崎賢人、上白石萌音、上白石萌歌


あら、たけちゃん、珍しい……と思ったでしょ。
この作品を劇場で観た1番の理由は、映画が僕の地元、旭川を舞台にしているからです。



これは劇場で観てよかったなぁ!
劇場の静けさ自体が演出なんです。
音の映画なので、物音ひとつ無い静けさからのピアノの一音が響く。
トーーーーンと伸びた音に森の画が重なる。
北海道の森や恐らくは美瑛の「青い池」
そんな美しい映像が音と重なる
心に染みる………



すごく静かな映画でした
台詞も少ないんです
無音の場面が多い
決して多くはない観客でしたが
誰一人音を発しません
静寂からの旋律
心地よい時間でした( ˘ ˘ )ウンウン



山奥の森に育てられた主人公が、出会った人に助けられながら1人前の調律師を目指す成長物語です……

って書いちゃうと普通すぎて陳腐なんだけど、調律師という職業がとても特殊で、知らないことが多く、それだけでも観て惹きつけられました。本屋大賞作らしいテーマでしたね。トーンは違うけど「舟を編む」を見た時と学びの感覚が似てたなぁ。




僕も多少楽器をかじっているので、「調律」と言われると「調弦」のことだと思ってしまいましたが、実は違いました。

調律師が行う「調律」の作業は、大きく3つ
「整調」「調律」「整音」

「整調」これが1番時間がかかる作業。
きちんと行うと15時間以上かかるのだそう。
そして、ここの作業について1番知らなかった。
ピアノを生き返らせる作業なんですね。
こんなに力仕事で、こんなにも愛情ある作業だったんだなぁ。映画では机くんの出るシーンで、この整調作業が光ってました!
「調律」作業で言うと1時間くらい。
調律って、ここのことしか言わないと思ってた。
正しい音の高さに揃える作業。
「整音」2時間以上を要する。
弦に当たるフェルトハンマーの形を整えたり、針を刺したり。ここで音色が決まりますね。

これらの作業を合わせて「調律」と言うのだそうです。しっかり行うと2日以上かかります。
すごいわ、調律師って( ˘ ˘ )ウンウン



実は、わが家にも古いアップライトがあるんですが、一緒に観た嫁と、うちのピアノはもう何年調律してないだろう。可愛そうだね……って話をしました。だって、調律、高いんだもん(-.-;)





上白石萌音ちゃんと妹の萌歌ちゃんが、姉妹初共演したことでも話題になっている本作。僕は萌音ちゃんファンなので、それもほんと良かった。
ピアニストを目指す高校生姉妹の役なので、ピアノを相当練習したそうだが、本当に弾いている感じが好ましかったですね。
特に「きらきら星」の連弾シーンは素敵だった\(^o^)/
知らなかったんですが、2人のお母さんは、元音楽の教師だそうです。血筋ですね( ˘ ˘ )ウンウン


他のキャストもみんな素晴らしかったよ。
鈴木亮平さんと堀内敬子さん以外は、みんな台詞が少ないんです。なので、立ち居振る舞いで伝えるんだけど、それが実に見事。

また、山崎賢人くんは、頼りなく、自信がない主人公という繊細な役どころが、今作ではピッタリでしたね。

主人公が初めて出会う調律師板鳥に三浦友和
就職先の調律師の先輩柳は鈴木亮平
元ピアニストの調律師秋野を光石研
楽器店の事務北川を演じるのが堀内敬子
柳の恋人に仲里依紗

他にも、お婆ちゃん役の吉行和子さん、城田優や森永悠希(机くん)も味のある役で出ていましたよ!


主題歌「The Dream Of The Lambs」は久石譲の作曲、演奏は辻井伸行。
もう、まさに久石譲って曲でしたよ(笑)


ほぼ全てが地元旭川で撮影された今作。
僕の住む街は、こんな場所です( ˘ ˘ )ウンウン
ちょっと自慢できるなぁ。
あ~、もう、みんな素晴らしい。
ぜひ観に行ってね( •̀ω•́ )و✧