エソラゴト

ガルヴェストンのエソラゴトのレビュー・感想・評価

ガルヴェストン(2018年製作の映画)
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殺し屋と少女の物語といえばまず思い起こすのは何と言ってもそう、『レオン』。しかしながら、全体的に静かな世界観やクールな肌触りは昨年観たホアキン・フェニックス主演の『ビューティフル・デイ』に近い感触でした。(両作品とも女性監督が手掛けているのが特徴的です)

一人の男は死への恐怖と絶望、もう一人の少女は守るべき者に対する生きる事への渇望…生と死の境界線を彷徨いながらの二人の逃避行も、最初はチグハグだった関係性がいつしか"孤独"を背負った似た者同士である事を分かりあえてから強固な絆で結ばれていく流れには胸が熱くなります。

終盤もド派手なアクションを絡めた復讐劇にいくらでも持って行けそうな展開なのに、こちらの期待と予想をスッと外してくるあたりも見事な演出でした。

監督は女優のメラニー・ロラン。クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』でのショシャナ役には特に惹きつけられましたが、その後も女優と監督の二刀流をこなし正に才色兼備を地でいくお方。

そして影のある少女役には好きな女優の一人、エル・ファニング。彼女の人気やルックス、女優としての立ち位置ならば大作にバンバン出演して地位も名誉も欲しいままに出来る存在なのに、敢えてこういった小粒でもピリリと辛い地味目な作品に出続けてくれる事にとても好感が持てます。本人の自己プロデュース能力なのか、周りのマネージメント力なのか定かではありませんが、どちらにしろ今後の彼女の活躍には一層目が離せないのは確かです。