カテリーナ

アフターマスのカテリーナのレビュー・感想・評価

アフターマス(2016年製作の映画)
3.1
終盤近くまで シュワのアクションを諦められなかった どっかで悪人と取っ組み合いをする または、銃撃戦 或いはカーチェイスの場面が待っていると信じていた が、躍動するシュワは何処にも居なかった 代わりに
暗い目をした 悲愴感漂う 初老の男がそこに居た

実際に2002年に起きたユーバリンゲン空中衝突事故を基にした実話である
航空機事故で妻と妊娠中の娘をいっぺんに亡くした ローマンと事故に関わった航空管制官の視点で 二人の心情を交互に見せて行き 被害者と加害者の両方に感情移入ができるような作りになっているのが肝
同時に 遺族の喪失感や管制官の過失による
良心の呵責 を丁寧に掘り下げて行く
その描写が余りにもリアルで 身体の芯から
熱が奪われて 表情が凍りついてるのが自分でわかる それは ローマンが 妻と娘の墓地で 眠りこけてしまい 真夜中に見回りに来た男に「また、お前か」という台詞からも
わかるように ローマンの深い悲しみから
前に進めない心情が嫌と言うほどわかるし
自らの職務の過失により引き起こした事故
という 余りにも大きすぎる十字架を背負ってしまった男の苦悩を体現する スクート・マクネイリーも見事だった 会社からは厄介払い 妻と子供とは別居 名前を変えて別の場所に移り今迄生きてきた自分を否定して
生きて行かなければならない 決意をする時の彼の慟哭が 胸に刺さった

この2人の男の行き着く末路は余りにも皮肉で ローマンが胸にそっと閉まっていた
大切な家族の写真 そこに映る妻と娘を失った 悲しみにケリをつけたかった 謝って欲しかったと願う気持ちは 叶わなかった
代わりに その謝罪を自分が言わなければならなくなった この運命を呪うしかない

最後まで 救いのない鬱作品である
カテリーナ

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