円柱野郎

マザー!の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

マザー!(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

田舎の家に暮らす詩人とその妻。
以前、火事で焼けたというその家の修復も進んでいたある日、一人の男が来訪する。

悪魔が憑りつく家の話かと思っていたら、実際は神と世界の話だった。
というか旧約聖書と新約聖書の内容を比喩的に登場人物に置き換えて、「世界からの視点」で人の業というか愚かしさを見せつけた映画だと感じたのだけど、これはマジで聖書の内容を知ってないとわけわかんないだろうな。

俺自身は「胸糞の悪い映画」という評判くらいを耳にしただけで観始めたのだけど、「生活が乱される精神的なストレスを描いている?」とか「火事は何のメタファーだろう?」とか、色々と考えるものの…漠然とした答えが出ないまま後半に突入してしまいました。
聖書の引用にしてもホラー演出的に不穏な状況の暗喩でハエやカエルを出してるのかと思っていたのだけど、終盤に詩人のファンが押し寄せるシーンで「これは神と人間の関係で、まさにこの映画の内容は聖書か!」と確信。
そこでようやく序盤に家へやってきた夫婦はアダムとイヴだと気づいた次第。
確かに夫婦の息子はカインとアベルだわ。
個人的には「言われてみれば確かに…!」という話の転換は好みなので、この映画の構造は面白かったです。
まあ結局世界を踏みにじる人間に愛想をつかした「世界」が、人の世を終わらせるという救いのない話ですが(苦笑)
というか、地下の油に火をつけて“家”を丸焼けにしてしまうというのはもはや直喩ですな。

終盤、妻の子は詩人の「信者」に惨殺されてしまう。
これはまさにイエスの比喩以外の何物でもないけれど、結構グロい表現は…人間への絶望を決定づけるためには必要だったのだろうかね?
確かに「世界」の気持ちをこのように追体験すれば、人間にも絶望するが。
しかしそれでも神は何度でもやり直す。
次は3回目?
いやもっと…?
人間はいつか変われるのだろうか…。
円柱野郎

円柱野郎