shino

ゆれる人魚のshinoのレビュー・感想・評価

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
3.6
大人版 新説人魚姫

完全にジャケ買いならぬジャケ鑑賞でした。
全部見終わったあとだと「ゆれる人魚」っていう邦題に「ゆれるってそういうことか……」ってなりました。個人的にはめちゃくちゃこの邦題良いと思います。ナイスセンス。

まさに新説大人版人魚姫と言ったエロティックシュールレアリスムミュージカル映画。めちゃくちゃ好き嫌いは分かれる。わたしは好き。
人魚って言ったらディズニーのアリエルみたいなキュートなイメージが先行するけど、この映画の人魚はとにかくキュートなのに「うーん魚……」って感想がきてしまう。
生の魚触ったひとは分かると思うのですが、生の魚特有のぬるっ…ねとっ…って質感がこっちにまで伝わってきて、見てるだけでめちゃくちゃ磯臭そうというか生臭そうって思えてしまうんですよね。真面目に魚屋に並んでる魚って感じです。
とある登場人物が、人魚に対して「君のことは魚に見える」みたいなことを言うの、酷いなこいつ!って感じるのにやっぱり人魚の魚部分を見ると「うーん魚……」ってなってしまうので人間って難しい。
とにかくディズニーで植え付けられたキュートでハッピーな人魚像ではなく、実際に人魚がいたらほんとモンスターなんだなって感じれると思います。美しい存在であるのは確かなんですけど、人間的ではないというか、やっぱ一歩向こうの存在なんだにと。
人魚姫の物語を現代に踏襲させた話なので、ある程度観てると流れはわかると思います。けど映像美にだんだん惹き込まれていって、アート映画として完成度はかなり高めです。ただほんと好き嫌いは別れる。

今度ディズニーで実写のアリエルやるじゃないですか。ほんとあれの質感かなり重要だなって思う。今作みたいなぬるっ…ねとっ…みたいなのが正しいんだけど、ある程度デフォルメしないと絶対見てると磯臭そうってなりそう。
shino

shino