LalaーMukuーMerry

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.2
民主主義vs独裁という構図の中で、民主主義の擁護者の代表としてヒトラーに敢然と立ち向かったとされるイギリスの指導者チャーチル。
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第2次大戦勃発以降、ナチス・ドイツが破竹の勢いで欧州大陸に支配地域を広げていた1940年の5月に首相に就任して、それから僅か3週間程度の間の、彼とその周囲の人たちとの目まぐるしい動きを丁寧に描いたドラマ。
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この間、有名なダンケルクの撤退(ダイナモ作戦)(5/26~6/4)を成功させる。首相就任後こんなにすぐにやったとは知らなかった。なんでもそうだが(特に政治家は)最初が肝心ですね。
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これ以降、戦争の流れは連合国側に傾き始めたと、歴史を後から学んだ人間は、ただそれだけしか知らないから、反対勢力がこんなに強くて、宥和的に動くべきか(和平交渉をすべきか)ギリギリまで確信が持てなかったこと、市民の声を直に聴いてやっと確信を持てたということ、そしてその市民の声を聞くべきと示唆したのが国王だったというのも、結構泣けるポイントでした。信念の人と思われている彼をしても、一人ではその信念はグラグラ揺れ動いていたのですね。
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あの国王は「英国王のスピーチ」でその名を知ったジョージ6世。初めはチャーチルではない人物を首相に望んでいた国王も、国難を前に二人で定期的に会って話をするうちに「イギリス近現代史上最も個人的な友情で結ばれた国王と首相」となっていく様子がよかった。
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あとダンケルク撤退を成功させるために、カレーの部隊に出さざるを得なかった非情な指示の電文をつくるくだり。あれが戦争の現実。あのような命令の出し手の人物像(こころの葛藤がどれくらいあるか)で、軍の良し悪しが決まるのだと思う。
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よい映画でした。